前回、スピーカーケーブルを切り替えてみると書いてしまったので、家に転がっているケーブルを発掘して聞き比べをしてみました。
注意事項など
まず、エクスカリバーを購入した時の記事にも注意として記載していますが、私は高級なケーブルに慣れていません。評価を鵜呑みにするのは危険です。
RCAケーブルはなるべく無難そうなGothamのGAC-4/1固定にしました。こいつと相性が悪いケーブルがいた場合、不利かもしれません。実際、ベルデンの8460や8470はあんまりパッとしなかったのですが、無視しました。ここを変更すると評価が変わる可能性はあります。
追記:この記事を書いた後もUSBケーブルを変更するなどいじって聴いていますが、それだけで帯域バランスが変わり全然印象が違います。あくまでも、特定の条件での聴き比べの印象としてお読みください。
音源について
前の記事を見返してみて気づいたのですが、何の音源を聴いてるのか書いてませんでした。これはかなり信憑性ないですね(苦笑)
といっても、実際にこれと決めている試聴曲があるわけではありません。
なるべく多くの曲を聴くようにしていますが、主食がJPOPとアニソンの人間なので高音質音源を使った偉そうなことは言えません。
JPOPやアニソンはあまり録音が良くないし、音質にムラがありますので意味ないんじゃないかという意見もあると思いますが、あきらかに音質が良くない音源でも破綻なく聴けるのは個人的にはかなり大事です。その過程で感じたことを評価として書いています。
とはいえ、そればかりでは性能評価ができないので一応JAZZとか弦楽器も聴きました。
今回申し訳程度に聴いているJAZZはMiles Davisのspringsvile。単に好きだから聴いてるだけですが、冒頭部の高域の鮮度感の評価に多用しました。
宮本笑里のbreak。バイオリン代表がこれでいいのか?と思わなくはないですがあんまり聞きなれない音源を聴いても意味ないので……。
こういうのも一応聴いてますが、言及なし(笑)
オーケストラは周波数特性のでこぼこしたスピーカーの方がスリリングな音で良いと感じたことがあり、評価に使うのは苦手です。
使ったケーブル
メーカー | 型番 | 特記 |
BELDEN | 8460 | テスト用に新しく買った。 |
BELDEN | 8470 | 10年以上前に購入。 |
QED | Performance Original | |
オーディオテクニカ | AT-RS150 | 最近購入。カーオーディオ用。 |
DH Labs | Q-10 Signature | TechDASのバナナプラグ付き |
SUPRA | Sword EXCALIBUR | バナナプラグで評価 |
あまり高いケーブルは家の中には転がっていないので、安いのがメインです。
エクスカリバーのバナナプラグは抜くのが楽だったので、スムーズに差し替えが進みました。
試聴結果
私の耳はかなりいい加減なので、前に聞いたケーブルの影響をかなり受けてると考えています。
ですので、各ケーブルの前に何を聴いてたかも記載しています。これ以外になるべく別日でも使ってみるようにし、多少メモ内容に修正を加えながら記載しています。
・EXCALIBUR ⇒ 8460
8460に変えると、急に音量が上がったように感じます。別のケーブルからEXCALIBURに変えたときも音量が下がった感じがしたので、8460がどうこうというよりEXCALIBURが音量低めに感じるのかもしれません。
中域~中高域が良く出ていてその割に低域方向が伸びていない印象があります。今回テストした中で一番細いケーブルなので、低音が出ないのは仕方ないのかなと思いますが、細い線でも低域の輪郭がしっかり出るケーブルもあるのでどうなんでしょうね。細いって言ってもAWG18とそこそこの太さなので、信号が伝送できてないってことはないと思うのですが、低域を感じられるように音量を上げると高域がうるさくて聴いていられなくなるので、少なくとも今回の試聴ではバランスが悪いと感じました。昔使ったときには結構良い印象だったのですが……。ただ、出てる範囲の音数は多いです。
EXCALIBUR比では高域の刺激感という点ではむしろ勝っており元気が良いとも言えますが、高域側に少しだけアクセントつけて刺激感を出しているように感じます。奥行き感やニュアンス表現では大きく後退しました。(勝たれても困りますが……)
・8460 ⇒ 8470
8460は本当に低域出ていなかったのではないか?と感じるくらいしっかり低域が感じられます。このケーブルの良いところは、8460比で低域が出るようになったのに高域側が変わった感じがしないところ。全体的に素直な音で、ボーカルも聴きやすく、バランス良いケーブルだと思います。
ただ、最初は良いと思ったのですが後日もう一度つないだところ、低域はレンジ的にはあまり伸びていないようです。低域が出るといっても量感でいい感じにごまかしているように感じました。小型フルレンジなど、もともとスペック的に低い音が出ないスピーカーには良いのではないでしょうか。
・EXCALIBURに戻してみる
8470の高域側にあったアクセントが消え、高域側のうるささ、疲れる感じがなくなりました。しかし、springsvileの冒頭部の鮮度感は上がりました。上がりましたというか、今回の参加ケーブルの中では一番良いです。
全体的に8470だと単調にぶつかってきていた音のニュアンスが豊富になったため、当たりが柔らかくなったように感じます。帯域バランスは8470とそんなに変わらない……と書くとたいした事なさそうですが、バランスが崩れないということで美点だと思います。低域側のレンジは伸び、きちんと演奏している感じ、楽器が存在する感じはします。
・EXCALIBUR ⇒ Performance Original(QED)
基本的にはボーカルを中心に高域、低域をバランスよく出してくれるケーブルですが、硬い音、俊敏な音もカバーする音調です。8470と比べて低音の量感は少ないですが、低域の輪郭は8470より感じました。パッと聴いた感じ、8470より抑制的な音かなと感じましたが、高域側にうまい具合にアクセント(8470より目立つ)をつけてあり、そこで鮮度感というか刺激感を出すように作ってあるようでした。ただ、その強い高域は表現がちょっと単調かな?音源による相性があるように感じます。
体調が悪かったためか交換初日は宮本笑里のbreakが耳に痛かったのですが、後日聴いたら大丈夫でした。Milesのspringsvileの冒頭部の鮮度感は8470比ではこちらの方が高いです。LiSAとか藍井エイルのようなアニソン系は全体的に相性が良い気がしました。
レンジ内で出せる音を素直に出してくる8470に対し、抑揚をつけた音が出てくるので、これに慣れると8470はそっけない音と感じるかもしれません。
・EXCALIBURに戻してみる
高域の表現が豊かになり、milesのspringsvilleや宮本笑里のbreakでうるさく感じることはなくなりました。特にbreakの方はニュアンス表現が全然違う。
低域はQEDのケーブルの方がカチッとしてるのですが、輪郭だけしかでてなかったとも言えます。
・EXCALIBUR ⇒ AT-RS150
解像度高く、開放的な音ですが中低域(ボーカルの少し下のあたり)がかなり弱く、低域の量感もないので全体的になんだか上ずったような、全体的に瘦せたような印象です。レンジ的には低域側もしっかり伸びてると感じるのですが、フラットではないのに曖昧さがなく、いい感じにごまかすことをしていないので違和感があります。
あと、全体的に寒色系というのでしょうか、”特有の音がないですよ!そのまま鳴らしてますよ!!”という感じの主張を感じます。最初EXCALIBURを使ったときには特有の音色がないケーブルと思いましたが、これと比べるとニュートラルな、いい感じの音色があるのかなと感じました。特有の音色はなければいいってもんでもないのかな……と。
音色がJPOP向きなのか、GLAYのグロリアスがスカッと鳴らせて良かったです。でもキロロは胴体が消えたような歌い方になってしまい合わない。面白そうなスペックだったのですが、残念ながらあまり常用する気になりませんでした。まあカーオーディオ用のケーブルなので、メーカーとしてもこんなところで評価しないでよと言いたいところでしょう。
AT-RS150 ⇒ Q-10 Signature
今回使った他のどのケーブルよりも腰の据わった音で、低域の押出がしっかりしています。このケーブルを何年も使っていて慣れてたためにEXCALIBURの低域が気になってるのだ分かりました。低域が量感がある上に解像度もあり、こうして他のケーブルと比較してみると低域側は突出して存在感があります。
このケーブルのいいところは、低域がかなり出るわりに高域も不足なくしっかり出ており、腰が据わった音なのに鈍重ではないこと。線材が銀メッキですが細い音などということはなく、どちらかというと太い音です。高域のニュアンス表現はEXCALIBURほどではないですが他のケーブルよりは良く、milesのspringsvilleはしっかり鮮烈に鳴ります。さすがに値段なりにしっかりしているなと感じました。
ただ、今回の他のラインナップと比べると、ボーカルが少し目立たない印象はあります。単独で聴いてれば気にならないレベルだと思いますが。
難点はバイワイヤ用ケーブルのくせに各線が太いことで、銀メッキだからむき出しで使うのも気が引けるのですがちょうどいいプラグを探すのも大変です。2本分で5.5sq(AWG10)の太さなので、アコリバのYラグには入りません。フルテックのYラグはねじ閉めたときの線材の逃げ場が多くて使いにくい。TechDASのバナナは入りますが、販売中止?購入する場合、素直に純正のプラグをつけてもらう方が良いかもしれません。
・EXCALIBUR に戻す
低域が静かになりました。低域のレンジは広いのですが、量感で演出するのを避けているようにも思えます。
Q-10Signatureは単独で聴いてるときは不満はなかったので、ベースやエレキギターの音圧を感じたい場合にはEXCALIBUR より他の選択肢の方が手っ取り早く満足できる可能性はあると感じました。
あ、私が低域側で問題にしているのは主にベースなどの電気楽器です。パイプオルガンとかはわかりません。リアルどころか音源としてもほとんど聴いたことない(笑)
低域側の楽器のニュアンス表現は優れていると思うので、迫力重視でないとか、クラシックしか聴かないなら問題は感じにくいのではないかと思います。
現実的な問題として、狭い部屋で音楽を聴くにはあまり低域が出すぎると飽和して大変なので、このくらいでいいかなとは思っています。
EXCALIBURについての総評
色々と比較してみましたが、SWORD EXCALIBURの音質はレンジは上から下まで広いが得意なのは中~高域、色付けは無色ではないが、ナチュラル系な感じかなと思います。まあ1000円前後のケーブルと比べて勝ってるといわれても、そりゃそうでしょうってなりそうですが。
銀じゃないので当然銀っぽい雰囲気はないですが、高域はかなり伸びてて銀に代わる表現がある印象。上から下までニュアンス表現豊かですが、それが柔らかい印象につながっているようです。少なくとも、カチッとした音とかがっしりした筋肉質な音を求める方向性ではないです。
低域の量感が少ないと感じていたのは、少ないんじゃなくて、標準的なのではないかと感じました。Q-10Signatureの低域が多すぎます。あと、曲によってはしっかりと低域の量感が出る場合もあるので、音源との相性はありそうです。
ネットで検索すると評論家の方がバイワイヤーで使ってるレビューがあり、最初「この人はいきなり2本使いとか、何やっとるの?」と思っていましたが、まあたしかに現在の性質を維持したまま低域の量感が増えるならやりたくなるかもしれないですね。
調子に乗って、USBケーブルにも手を出してしまいました。