コロナ抗原検査キットが品切れに

薬剤師

昨年(2021年)の末頃から、新型コロナ抗原検査キット(簡易検査キット)が薬局やドラッグストアなどで購入できるようになったことをご存知でしょうか。

今回は、その抗原検査キットが薬局で品切れになっていることについてお伝えします。

2022.3月追記

この投稿の情報は現在古くなっている可能性があるのでご注意ください。
2022.3月初旬時点で抗原検査キットは十分とはいえないまでも流通改善してきています。
2月時点で唾液の抗原検査キットが承認可能となったような報道がありましたが、製品としては確認できておりません。
厚労省が承認している製品のリストはこちらをご確認ください。

薬局の抗原検査キットはどういうもの?

2022年1月現在、日本で新型コロナウィルスの感染の検査に使われているのはPCR検査と抗原検査です。

抗原検査は抗原定量検査と抗原定性検査に分かれており、薬局で購入できるのは抗原 定性検査 キットです。
値段は販売側が決めてよいことになっていますが、1回の検査でだいたい\1700~\2000くらいが相場でしょうか。

自治体の補助がある場合もあるようです。

注意点として、薬局で買って陽性、陰性がわかっても確定診断にはなりません。
陽性の場合は発熱外来の受診が必要になりますし、陰性でも陰性証明にはなりません。
気になる不調があった時のセルフチェック用です。

他の検査との違い

それぞれの違いについては厚労省のページに詳しく記載されていますが、そこに記載されているまとめ表はこんな感じ。

検査種類抗原定性検査抗原定量検査PCR検査
〇調べるものウイルスを特徴づけるたんぱく質(抗原)ウイルスを特徴づけるたんぱく質(抗原)ウイルスを特徴づける遺伝子配列
〇精度検出には、一定以上のウイルス量が必要抗原定性検査より少ない量のウイルスを検出できる抗原定性検査より少ない量のウイルスを検出できる
〇検査実施場所検体採取場所で実施検体を検査機関に搬送して実施検体を検査機関に搬送して実施
〇判定時間約30分約30分+検査機関への搬送時間数時間+検査機関への搬送時間
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に関する検査について より引用 (2022,1の記載です)

上記以外に抗体検査というのもありますが、これは対象の感染症(今回の場合は新型コロナ)にどれだけかかりにくくなっているかの指標を測定するためのもので、陽性、陰性を調べるものではありません。

抗原定性検査のメリットは、その場で検査が完了して結果が出ることでしょう。
(測定器を持つ一部の大病院では、短時間でPCR検査や抗原定量検査の結果が出ることもあります。)

抗原検査は精度が良い、悪いなど様々な情報が飛び交っていますが、メーカーや個人は自分に有利な情報だけを発信していたり、情報が古くなっていることがあるので公的機関の情報を確認することをお勧めします。
気になる方は上記参照元をご覧ください。

需要の急増で品切れに

昨年の末の段階では薬局の簡易検査キットの在庫はだぶついていました。
まあ、感染者が少なければ自分が感染するとは思わないので、検査しようとは思わないですよね。
無料のPCR検査が始まったのもありこのまま検査キットが期限切れになる可能性もあるのではと思っていたくらいです。

しかし1月に入ってオミクロン株の流行とともに需要が増えると途端に注文が殺到。
勤務先でも、少ししか置いていなかった検査キットは蒸発するようになくなってしまいました。
すでに卸からは入荷時期未定と伝えられ、予約もお断りしている状況です。

なお、無料のPCR検査も予約でいっぱいになっているようです。
こちらに関しては筆者の勤務先は参加していない(狭くて場所が確保できない)ため、どのくらい混んでいるのか、詳細は分かりません。

再開時期は

「いつ入るかわかりますか?」と言われることも多いのですが、すみません、もくめやぎにはさっぱりわかりません。
基本的には薬局の人間は、発注先の卸が伝える以上の情報を持っていません。
卸からは、次回の入荷は未定と伝えられています。

国は増産を要請しているようですが、どうなんでしょうね。
マスクや薬もそうですが、こういうのって頑張れば急に増産できるというものではないと思うのですが。

発熱外来でも使うので……

先が読めない理由は卸からの情報がないだけではなく、別の理由もあります。

実は、発熱外来でも同じ検査キットを使用しています。

発熱外来用の流通は現在のところ止まっていないようですが、発熱外来はキットが品切れだからできませんというわけにはいかないので、十分な余裕ができない限り薬局向けの流通は改善しないのではないかと考えています。

感染者数が急増している現在、発熱外来の必要量がどこまで増えるかは読めないため、メーカーとしても個人用に回す余裕はないのでしょう。

研究用のキットはどうか

上記の品薄の話は、あくまでも国が”体外診断用医薬品”として承認しているキットの話です。

薬局で販売許可が下りる前から、一部ドラッグストアやネット上では”研究用”と称される抗原検査キットが販売されていました。
これらは、現在も手に入るようです。

ただ、”研究用の検査キットは診断用ではありません”と、厚労省や自治体はしきりにアナウンスしています。

検査感度が低い可能性があることに加え、品質的な問題がある可能性もあります。
普通に認可されれば売れるのに、なぜ認可を通さないのか?
通さないのか、通せないのか‥‥‥。
個人的にも、あまりお勧めはできません。

ちなみに、体外診断用医薬品はネット上では販売が認められていません。
2022年1月時点、ネット上で販売されているのは全て研究用だと思います。

実店舗でも、正規の検査キットを扱っている店舗で研究用のキットも平然と販売していることがあるので注意してください。

まとめ

堅い話が多くなってしまいましたが、薬局で買える抗原検査キットの現状はこんな感じです。

とにかくお伝えしておきたいことは

  • 薬局に検査キットの在庫がないけど許して
  • 研究用の検査キットを間違って買わないように

という2点です。

早く流通が改善し、必要な方に一刻も早く行き渡るよう願っています。

サラリーマン的には、検査キットの販売は必要書類が多く手間がかかるので、あまり売れるのも嬉しくないのですが。
沢山売ったから給料が増えるってわけではないですからね‥‥‥。

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