新型コロナウィルスが流行して以来、マスクは必需品となっています。
しかし、箱を見るとサージカルマスク、花粉キャッチ、N95だのといろいろ書いてあって、どれを選べばいいのかわかりにくくないでしょうか?
私はマスクを売る側にもかかわらず、まったくわかってません!
皆さんよく質問せずにマスク買ってますね。
いや、聞かれても答えられないんですが……。
「これは、このままいくといつかトラブルになるのではないか?」と感じたので勉強しました。
以下、そのまとめです。
理解が間違ってる可能性もあるのでご注意ください。
医薬品みたいにがっちりと法律で固められてないので、信頼できるソースが少ないのです。
不織布マスクの選び方
現状、ウレタンマスクは推奨されていませんので不織布マスクの話になります。
選ぶポイントとしては
- 価格
- フィルター性能
- 大きさ
- つけていて耳が痛くないか
- つけていて接触面が毛羽立ってこないか
あたりを考慮して決めていくことになるでしょう。
価格
価格は、高ければいいとも言えないところがあります。
マスクが不足していたころは50枚で2000円を超えることは普通でしたからね。
値段と品質が比例しないことがあり得るということは理解していただけるかと思います。
ですが、毎日使ってきた経験として、店頭価格で50枚入り500円を下回ってくると、着け心地に問題が出てくるような印象はあります。
原価が安い物を高く売ることは可能ですが、原価が高い物を安く売るのは困難ですからね。
乱立するフィルター規格
問題なのはここで、かなりわかりにくいです。
よく見かけるのはサージカルマスクですね。
サージカルマスクは、医療用マスクのことですが、不織布マスクの意味で使われていることもあります。
医療用とか言いながら一般向け用に陳列されている現状では、ほとんど意味ないように思います。
しかし、JIS規格のサージカルマスク、ASTM規格のサージカルマスクなど、別の規格と一緒になると一定の性能を満たした医療マスクとなり、急に意味が出てきます。
N95は米国の防塵マスクの規格です。
新型コロナやSARSなどの感染症対策にも有用で、そのまま流用されているようです。
まともにつけるとかなり苦しいので、一日中つける用途には向いてないように思えます。
中国ではpm2.5を防ぐ目的で推奨されていますが、感染予防目的に限ると苦しくなるとマスクを触るなど、マイナス面もあると思うので日本国内では頑張って使わなくてもよいと思います。
感染が怖いからと体が弱った人に使わせると、呼吸効率が落ちて心臓の負担になるなども考えられますのでご注意ください。
似たような規格にDS2(日本)とかKF94(韓国)、FFP2(欧州)、KN95(中国)があります。
このあたりは産業安全技術協会のページが比較的わかりやすかったので、信頼できそうなソースが欲しい方はこちらへ。
JIS規格とASTM規格
さすがに一般用マスクの規格がないのは都合が悪くなってきたようで、日本にも2021年6月に、マスクのJIS規格が制定されました。
……すごく最近じゃん。遅いよ。
日本の産業界はマスクはどうでもいいと思っていたのでしょうか?
まあ、まさかマスクがこんなに売れる時代が来るとは予想できなかったでしょうけど。
ASTMは米国の規格です。(ASTM-F2100-19が医療用マスクの規格)
JISがなかったので、医療用マスクの性能評価をするときによく使われていました。
JISは、一般用(T9001)と医療用(T9002)を分けて規格を制定しています。
ASTMにも一般用マスクの規格がありそうですが、少し調べた限りでは見つけられませんでした。
ASTMは海外の規格で認証通すのが大変なのか、費用が高いのか、その辺の事情はよく分かりませんが、以前からあるサージカルマスクの中にはASTMの認証は通してないけど規格に準じて作りましたと謳っている商品もあるようです。
”準拠”というのは自己申告なので、どうなんでしょうね?
ダメとも言えないですが、第三者に認証されているわけではないので注意が必要です。
そのうち、真面目なメーカーはJIS規格を通していくと思いますが、現在のところ、店頭には
・規格認証を取っていない一般用マスク(必ずしも性能が劣るわけではない)
・規格認証を取っていないサージカルマスク(必ずしも性能が劣るわけではない)
・ASTM規格系列のサージカルマスク
・JIS規格に認証された一般用マスクとサージカルマスク
・産業用規格のマスク
などが混在しています。
国がもうちょっと整理してくれてもいいのではないかと思いますが、マスク不足になるような規制はかけられないでしょう。
当面はこの状況は続くと考えられます。
粒子の大きさについて
時々、商品パッケージにPFE,BFE,VFEという単語が出てきてこちらを混乱させてきますが、
BFE:バクテリア(細菌)飛沫フィルター補修率
VFE:ウイルス飛沫フィルター補修率
PFE:微粒子フィルター補修率
という意味です。
大きさ的には細菌飛沫(3μm)>ウィルス飛沫(1.7μm)>微粒子(0.1μm)です。
細菌とウィルスに関してはそれらを含んだ飛沫の大きさですので、VFE99%ならウィルスに対して無敵かというとそうではなく、マスク表面で水分が蒸発するとウィルス核だけが吸引されることはありえます。
ちなみに、花粉は細菌飛沫より大きいので、BFEが高ければキャッチされます。
花粉用としか書いていないマスクは、感染予防の点ではイマイチな可能性があります。
JISのサージカルマスクはこの3つの数値が95%を超えることを求められているようですが、一般用マスクに関しても95%を超えれば表示できるようになっているので、超えてくる製品は多いと考えられます。
真っ先にJIS規格を通したアイリスオーヤマのマスクは3つすべての値で95%超えてますね。
性能よりも大事なこと
JISやN95はあくまでもマスクのフィルター性能を定義しているだけです。
マスクにはこれ以外に、着け心地という大きな要素が残されています。
ここが一番問題なんですよね。
どれだけフィルター性能が良くても、頻繁に外してたら意味がないわけです。
よく、テレビ番組でマスクの選び方をインタビューされた偉い人が「ご自分の顔にあったものを探してください」と返答しているのを見かけますが、実際のところフィルター性能よりもしっかり使えているかのほうが大事というのは確かです。
- マスクの大きさ
- マスクの触感
- ひもが耳に痛くないか
あたりはかなり重要です。
そして、それは使ってみるまで分かりません。
同じ面積のマスクで大人用であったとしても、片方はきつくて小顔の人向け、片方は緩めで顔の大きい人向けというように分かれてしまっていることは、よくあります。パッケージに書いてなくても。
マスクはスポット入荷ということも多く、常に同じものを販売できるとは限りません。
そういうわけなので、ご自分に合ってるマスクを見つけた方は、同じものを買いためておくのが良いと思います。
薬局で使っているマスクは?
「じゃあ薬局では何を使ってるの?」という話ですが、おそらくどこの薬局も不織布マスクをこだわりなく仕入れて使っているのが現状です。
自社ブランドの製品があれば、それを優先して使っているチェーン店も多いと思います。
私の勤務先ですが、よく使っているのは医薬品卸のスズケンが持ってきてくれるKenzサージカルマスクです。(Kenzはスズケンのブランド名)
ノーズワイヤー(鼻の部分のワイヤー)が長く、顔にフィットさせやすい点、たくさん服薬指導をしていても鼻からずり落ちてきにくい点で気に入っています。
また、手元にある5種類のマスクの中で一番、耳ゴムの圧が弱いです。
ノーズワイヤーでしっかり顔にフィットさせることで、ゴムの圧に頼らない設計のようです。
フィルターはBFE99%,PFE98.8%と書いてありますが、販売時期的にJISではないのでASTM規格準拠……いや、何も書いてない……?
ググっても公式HPが出てこない上、スズケンのHPを探していると製品説明ページからamazonの販売ページに飛ばされるあたりでやる気が感じられないですが、使い心地は良いですよ。
「医療用なので一般向けには流通させないんです!CMなんていりません‼」ということでしょうか?
でも、公式HPからamazonにリンク張ってあるし、どういう姿勢なのかよくわからないです。
このマスクはコロナ禍以前からよその医療機関でも見かけることがあったので、医療機関での使用率は比較的高いのではないかと思います。
理由は品質ではなく、医薬品卸から買う方が会計処理が楽だからだと思いますが……。
しかし、コロナ禍以前から使われてきており、長い間問題なく使用できていたとも言えます。
なお、このマスクは中国製です。
使っていて問題はないように思えますが、日本製のバリエーションもあります。
調べてて気づきましたが女性用もあるみたいです。
色も白だけではないので買ってみようという方は注意してください。
一定の信頼感がある製品が欲しいという場合は、試してみるのも良いのではないでしょうか。
個人の好みが大きい
この記事を書いている時点で、勤務先で「このマスクいいよね?」ってスタッフに聞いてみたんですよ。
そうしたら、返ってきた答えは
「えー?メディセオのJ-マスクの方がいいですよ。Kenzのは毛羽立ちますし。こっちのは毛羽立たないです。」
というものでした。(ブランド名がメディウィズとなってますがメディセオのブランド名です)
うーん、またもや医薬品卸のマスク。
いや、私はKenzのマスクを一日つけてても毛羽立たないけどね……。
Jという商品名からわかりますが、こちらは完全に日本製ですね。
スズケンのマスクと比べると、布面積は変わらないのですが、ノーズワイヤーは短く、耳ゴムはちょっときつめです。
女性、子供用というわけではないのですが、男性用としてはちょっときつい印象でした。
kenzサージカルマスクとスペック上の布面積は変わらないんですけどね。
毛羽立ちに関しても、私がつけてみた感想としてはむしろこちらのほうが毛羽立つ印象でしたが、女性陣には評判が良かったので、ゴムの強さが合ってないせいだと思います。
やはり、自分に合ったマスクを使うというのは大事だなと思った次第。
あと、メディセオのHPもやはりマスクの解説ページにたどり着けません。
存在を隠してるんでしょうか(笑)
まとめ
トラブルを恐れて調べ始めたマスクの規格ですが、想像以上に魔境になっていました。
規格が多すぎて困りますが、時間がたつにつれてJIS規格のマスクが普及しわかりやすくなるのではないかと思います。
なんとなく薬局で使っているマスクも紹介してみましたが、すでにご自身のお気に入りマスクを見つけている場合はわざわざ新しいマスクを試す必要はありません。
同じものを購入した方が良いです。
いろいろ試す時間はないけどとにかく良さそうなのが欲しいという場合は、上記のマスクは少し高いですがお勧めです。
最後までお読みいただきありがとうございました。